日本では、あらゆる産業分野で人手不足が進行するなか、高知県においてもこの状況は違わず、外国人材の受入れは官民問わず取り組まれるべき課題です。

ここでは、「高知県内の外国人雇用の状況」について、その背景とこれまでの推移、現状についてご紹介します。

【このページの要点】

  • 少子高齢化が招く人手不足の状況
  • 外国人雇用の推移
  • 有効求人倍率の推移
  • 外国人雇用の今後について

高知県の人口減少と少子高齢化による生産年齢人口の減少

高知県の人口は、国勢調査の結果によると、昭和30年(1955年)の88万3千人をピークに、高度経済成長期における大都市圏への若者の流出などの影響により減少に転じましたが、その後、昭和45年(1970年)の78万7千人を底に、いったん下げ止まり、第2のピークにあたる昭和60年(1985年)の84万人まで再び増加しました。

しかし、それ以降は、出生数の減少などの影響による減少傾向が続き、令和2年(2020年)には691,527人となっています。

これを、年齢区分別に見ると、近年、0歳から14歳までの年少人口と15歳から64歳までの生産年齢人口は減少する一方で、65歳以上の老年人口は、平成7年(1995年)に初めて年少人口を上回るなど増加を続けています。その結果、令和2年(2020年)現在、65歳以上の老年人口は全県人口の35.5%を占め、0歳から14歳までの年少人口は10.9% 一時は60%を上回った生産年齢人口は53.6%にまで低下し、人口ピラミッドを見ると、逆ピラミッド型の人口構造となっています。

一般的に少子高齢化による生産年齢人口の減少が各産業の人手不足を招いているといわれますが、生産年齢人口が減少しても、それを上回る割合で総人口が減少する場合には、人手不足が起こらないという状況もあり得ることから、ここでは、高知県における近年の総人口の減少割合と生産年齢人口の減少割合をみてみたいと思います。

国勢調査の結果によると、高知県の総人口は平成22年(2010年)764,456人から令和2年(2020年)691,527人と10年で9.54%減少しましたが、生産年齢人口は平成22年(2010年)447,540人から令和2年(2020年)370,997人と10年で17.10%減少しています。

よって、社会における需要は個人需要のみでなく、且つ、その個人需要も人口に厳密に比例するわけではありませんが、総人口が10%しか減少しないなか生産年齢人口が17%も減少した高知県においては、人手不足が進行したというのが妥当でしょう。

高知県の有効求人倍率の推移

では、人口減少の割合を大きく上回る生産年齢人口の減少が、実際に高知県の社会にどう反映されたかについて、県内有効求人倍率の推移をみてみたいと思います。

平成22年(2010年)の高知県内の有効求人倍率は0.56倍であったのに対し、令和2年12月(2020年12月)の高知県内の有効求人倍率は1.00倍、また、令和7年7月(2025年7月)の高知県内の有効求人倍率は1.07倍に達しています。

高知県内においてもここ15年の間に人手不足が進行してきたといえ、このような状況を解消すべく、全国の動きからは大きくその進捗が遅いものの、外国人雇用が増加してきています。

高知県の外国人労働者の推移

高知県労働局によると、平成29年10月時点2,414人であった高知県内の外国人労働者は、令和6年10月現在5,293人と、ここ8年で約3,000人、2倍以上と増加し、また、外国人を雇用する事業所数も646事業所から1,216事業所、こちらも約2倍の増加がみられます。

ここで、平成29年10月時点での外国人労働者の状況を紹介しておきます。

国籍別では、ベトナムが最も多く670人(前年度498人、前年同期比34.5%増)、次いで中国516人(前年度560人、7.9%減)、フィリピン408人(前年度388人、5.2%増)でした。

産業別では、製造業757人(前年度664人、前年同期比14.0%増)が31.4%を占め、次いで農林漁業653人(前年度560人、16.6%増)、教育、学習支援業246人(前年度264人、6.9%減)でした。

事業所規模別では、「30人未満の事業所」が最も多く、外国人労働者を雇用する事業所の67.8%、438事業所(前年度385事業所)、外国人労働者全体の51.2%、1,235人(前年度1,067人)を占めていました。

外国人労働者を雇用している事業所のうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所は28事業所(前年度27事業所)、また就労している外国人労働者は154人(前年度136人)でした。

高知県の外国人雇用の現在の状況

高知労働局の令和7年1月31日プレスリリースによると、高知県内の事業所における外国人労働者数は、令和6年10月現在5,293人で、前年同期比783人、17.4%増加し、平成19年以降、過去最高を記録しています。また、外国人労働者を雇用している事業所数も、前年同期比110所増加し、平成19年以降、過去最高の1,216事業所となっています。

在留資格別では、「技能実習生」が最も多く2,827人(外国人労働者数全体の53.4%)で前年同期比450人、18.9%増、次いで「専門的・技術的分野」1,411人(同26.7%)で前年同期比286人、25.4%増、永住者など「身分に基づく在留資格」587人(同11.1%)で前年同期比9人、1.6%増の順となっており、2019年に創設された在留資格「特定技能」は935人(前年度682人)となり、特定産業分野別では農業409人、介護136人、漁業113人の順となっています。

また、産業別では、農業、林業が最も多く1,126 人(外国人労働者数全体の21.3%)で前年同期比136人、13.7%増、次いで製造業1,013人(同19.1%)で前年同期比150人、17.4%増、卸売業、小売業996人(同18.8%)で前年同期比200人、25.1%増の順となってなっています。

国籍別では、ベトナムが最も多く1,981人(外国人労働者数全体の37.4%)で前年同期比273人、16.0%増、次いでインドネシア1,048人(同19.8%)で前年同期比254人、32.0%増、フィリピン701人(同13.2%)で前年同期比60人、9.4%増の順となっています。

→高知労働局HP(外国人の雇用状況について)

また、政府の令和6年12月在留外国人統計によると、高知県内に在留する外国人は6,848人であることから、約8割の外国人が何らかの雇用労働を行っているという状況が推測できます。

→e-Stat政府統計HP(在留外国人統計)

2010年から2020年までの10年間で生産年齢人口が76,543人減少した高知県においては、人口の減少、官民挙げてのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、個別の業務効率化によるサービス供給力の向上の努力を踏まえても、6,000人規模の外国人労働者の受入れでは未だ各産業分野における人手不足の解消には至っていないことが推測されます。

また、令和6年10月における全国での外国人労働者数は2,302,587人であることからも、未だ人口の100分の1にも外国人労働者数が満たない高知県の状況からすると、高知県の産業力を維持するためには、今後も更なる外国人雇用の取組みが必要でしょう。

外国人雇用については、管民によるこの間の受入れルートの開拓や海外における認知度の高まりから、今後も全国的に増加するでしょうし、高知県においても総体としては増加していくでしょう。

しかし、全国の他の地域と比較すると外国人雇用が進んでいないという現状を踏まえると、今後の人手不足を補う一つの解決策としての外国人雇用に求められる受入数水準を達成できるかという点に対策を講じる必要があろうかと思います。

高知県は日本の端に位置しています。私もイギリスのブライトンという街に住んだことがあるのですが、ロンドンから電車で約2時間の大きな街でした。仮に外国人が日本を就労の地として選択してくれたとしても、東京から遠い、大阪から遠いという高知県は就労先として選択してもらうために日本の他の地域よりも外国人材の獲得に努力を払う必要があります。

いかにして地域の職場の魅力を高め伝えるか、多くの施策が必要となります。行政による、受入れ企業による、外国人労働者をサポートする団体による、また、私たち行政書士等の法的専門家による外国人雇用に向けた努力が必要となります。

生産年齢人口の減少を大きく上回って人口が減少したり、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進だけで劇的に社会全体の効率化が図れたり、個別の業務効率化によってサービス供給力が劇的にすべての企業で向上したりといった夢のような未来が訪れない限り、高知県の産業力を維持するためには外国からその担い手を迎える以外に方法はないでしょう。

日本は一人当たりGDPが世界最高水準でなくなって久しいですが、幸いにも現在の日本に好感をもって、働いても良いと思ってくれる外国の方がいることに感謝したいのは私だけでしょうか。

当事務所では、高知県内でビザ申請をお考えの方、外国人雇用にこれから取り組もうとされる事業主様を全面的にサポートするサービスを提供しております。

無料相談にて、各種ビザの許可取得が可能か、また、問題点がある場合にどの程度是正ができるかのアドバイスをさせていただきますので、ぜひお気軽に、お電話かメールでお問合せください。

他にご不明な点がありましたら、
どうぞお気軽に
お問い合わせください!

LINEで問合せ!

友だち追加

※スマートフォンでご覧の方はボタンをタップして友だち追加できます。

お電話でのお問い合わせ

088-879-6914

受付時間:9:00~18:00(月~金曜日)

高知VISAサポートセンター運営ライフパートナーズ法務事務所代表行政書士森本拓也

この記事の執筆者

高知VISAサポートセンター所長

森本 拓也

TAKUYA MORIMOTO

行政書士ライフパートナーズ法務事務所

代表行政書士、宅地建物取引士

私も、イギリス在留中には、フラット(アパート)を借りる際をはじめ、多くの現地の方にたくさんお世話になりました。

当事務所では、ビザ申請に関すること以外にも、外国籍の方の行政手続き・不動産・日常生活に関する様々なお困りごとにも相談対応が可能です。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • 主な担当業務
    外国人のお客さまのビザ申請に関するサポートのほか、外国人を雇用する企業様の法的サポートを提供しています。
  • Profile
    1993年 3月 高知県立追手前高校   卒業
    1993年 4月 立命館大学産業社会学部 入学
    イギリス留学を経て、行政書士資格取得後公務員として約20年勤務した後、行政書士ライフパートナーズ法務事務所開設。

高知県行政書士会 会員(登録番号 第25381973号)

入管申請取次行政書士(行ー192025200024)

宅地建物取引士登録番号(高知)第005010号

高知VISAサポートセンターは、以下のとおり、高知県内全市町村を対応エリアとしております。

高知県内にお住いの方、高知県内に所在する事業所様にあっては、お気軽にご相談ください。