「経営・管理ビザ」とは、外国人が日本で事業の経営及びその管理を行える在留資格のことをいいます。

もともとは、その活動が外資系企業における経営・管理活動に限られていた在留資格「投資・経営ビザ」が、平成26年の法改正により、日系企業における経営・管理活動を追加することにより制定されたのが「経営・管理ビザ」です。

ここでは、「経営・管理ビザ」について、どのような場合に取得することができる?、どうやって申請する?、といった疑問にお答えします。

【このページの要点】

  • 経営・管理ビザの要件:①新たに会社を立ち上げ経営・管理、②既存の会社を経営・管理、③経営者に代わって経営・管理
  • 事業要件:①事業所が日本に存在すること、②出資額500万円以上の事業所又は常勤2人以上を雇用していること、③事業の管理には3年以上の経験が必要
  • 会社設立を含む経営・管理ビザ申請の流れ
  • 経営・管理ビザ申請に必要な書類

冒頭でも触れましたが、経営・管理ビザについては、平成26年の法改正により、それまで外資系企業の経営・管理業務を行うことが認められていた投資・経営ビザに、日系企業の経営・管理業務を行うことも在留期間中の活動に追加して定められた経緯を有します。

また、この平成26年の法改正により、申請人による当該会社への出資が必須ではないこととされ、日本企業が外国人経営者を海外から招へいするというような場合にも、経営・管理ビザで対応ができるようになりました。

経営・管理ビザに該当する活動の例として、具体的には、事業の運営に関する重要事項の決定、業務執行、監査といった業務に従事する社長、取締役、監査役の役員としての活動、事業の管理業務に従事する部長、工場長、支店長などの管理者としての活動などが挙げられます。

また、「経営・管理」は在留資格の該当性に加え、上陸許可基準への適合性も求められる在留資格です。

ここで、よく混同されがちな「ビザ」と「在留資格」について、説明をしておきます。

「ビザ(査証)」とは、外国にある日本の大使館や領事館がパスポートをチェックし、日本への入国は問題ないと判断した場合に発給されるもので、日本への入国に関する認定の裏書をさします。ただし、日本への入国にあたってこの「ビザ」は必要なものですが、実際に上陸を許可するか否かは、日本の空港や港で上陸時に行われる上陸審査の際に入国審査官が決定します。入国審査官はパスポートに貼られたビザを確認し、上陸を許可するのであればビザに見合った「在留資格」を付与して外国人を上陸させることになります。その時点で「ビザ」は使用済みとなり、上陸時に与えられた「在留資格」が上陸後の外国人が日本に在留する根拠となります。

また、「ビザ申請」と国内で一般的にいわれるものについては、正確には「在留資格認定証明書交付申請」のことを指します。「在留資格認定証明書」とは、法務大臣が発行する、当該外国人が日本で行おうとする活動が上陸のための条件に適合すると判断した証明書をいいます。この証明書を事前に取得し、在外公館でビザ発給を申請する場合、在留資格に関する上陸条件についての法務大臣の事前審査を終えているとして扱われるため、ビザの発給が迅速に行われることとなります。外国人の入国の大半はこの方式を利用しています。

在留資格認定証明書交付申請は、当該外国人、又は、行政書士、弁護士などの代理人が、当該外国人の居住予定地を管轄する出入国管理局(支局・特定の出張所を含む)に申請書を提出して行います。

ただし、本サイトでは、特に断りの無い限り、「在留資格認定証明書交付申請」については一般的な呼称である「ビザ申請」という言葉で言い表します。

経営管理の在留要件に関しては、出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という。)別表第1の2の経営・管理の項の下欄において「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」と規定されています。

→e-Gov法令検索(入管法)

この「貿易」は例示であり、「事業の経営」と「事業の管理」を行う活動が経営・管理ビザの要件であり、具体的には、①日本において事業の経営を開始して、その経営を行い又は事業管理に従事する活動、②日本において既に営まれている事業に参画して、その経営を行い又は事業管理に従事する活動、③日本において事業の経営を行っている者(法人を含む。)に代わって、その経営を行い又は事業管理に従事する活動があります。

申請人はこれら経営や管理の業務に実質的に参画又は従事することが要求され、経営・管理ビザ申請の際には、これらの実質性は実際に行う業務の内容を確認して判断されることとなります。特に、申請人が新たに事業を開始しようという場合にあっては、申請時点においていまだ事業自体が行われていないこともあり、開始しようとする事業の内容の具体性や、申請人が取得している株式や事業に投下している資金の出どころ等の事業の開始に至る経緯、申請人の経歴から名ばかりの経営者ではないのかどうか等といった視点から厳格な審査が行われることとなります。

また、既に営まれている事業に参画する場合、発行済み株式の過半数を取得の上代表取締役に就任するというような場合には「経営を行い」に該当するものと判断される可能性が高いですが、状況を総合的にみて不自然な部分がある場合は不許可となることもあるため、できる限り合理的な状況作出に努めたうえで経営・管理ビザ申請を迎えることをお勧めします。

なお、経営・管理ビザ申請に関する「事業」は、適正に行われるもので、かつ、安定性及び継続性が認められるものでなければなりません。

経営・管理ビザに関する上陸許可基準については、上陸許可基準省令において定められ、申請人が事業の経営を行おうとする場合は下記の1号及び2号に該当すること、事業の管理に従事しようとする場合には1号、2号及び3号に該当することが必要となります。

事業を営むための事業所が日本に存在すること。ただし、その事業が開始されていない場合にあっては、その事業を営むための事業所として使用する施設が日本に確保されていること。

なお、上記の「事業所」は、以下のいずれの要件も満たしている必要があります。

  • 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所、すなわち一区画を占めて行われていること
  • 財貨及びサービスの生産または提供が、人及び施設を有して継続的に行われていること

申請に係る事業の規模が、以下のいずれかに該当していること

  • その経営または管理に従事する者以外に日本に居住する2人以上の常勤職員(外国籍の場合は永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者または特別永住者に限る。)が従事して営まれるものであること
  • 資本金の額または出資の総額が500万円以上であること
  • 上記2項目のいずれかに準じる規模であると認められるものであること

申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

平成27年4月1日から、会社設立前であっても、一定の場合には、経営・管理(在留期間4月)ビザの取得が可能となり、同ビザでの入国後に会社設立登記を行えるようになりました。

これは、経営・管理ビザ申請においては会社の登記事項証明書を添付する必要がある取扱いが緩和され、認証前の定款の記載や事業計画から会社設立を行う意思があること等が確認できる場合には入国が許可され、4か月間の在留資格が付与され得るということとなったものです。また、入国の際に提出が必要である事業所の賃貸借契約書も、賃借権等物件の場所・広さ・予算検討等の資料の提出でこれに代えることが可能となりました。

経営・管理ビザの申請は、住所地を管轄する出入国在留管理局に対して行います。経営・管理ビザの審査は申請後平均で3か月程度に及びます。

流れは以下のとおりです。

事業計画の策定

新たに事業を開始する場合に作成する必要があります。

ビザ取得の成否にも関わりますのでしっかりと検討することが必要です。

STEP
1

会社設立の諸準備

オフィスの確保(賃貸借契約)、定款作成及び認証、会社印鑑の作成など準備を進めましょう。

なお、バーチャルオフィスは認められません。

STEP
2

資本金準備

最低500万円の資本金を準備します。この額超を推奨。

会社の発起人名義の銀行口座への払込を証明する必要があります。

STEP
3

会社設立の登記

株式会社または合同会社の設立登記。

登記後、登記事項証明書を取得しておきましょう。

STEP
4

各種届出

税務署、市区町村、年金事務所などに開業届、給与支払い事務所設置届などを行います。

STEP
5

出入国管理局に経営・管理ビザ申請

申請者の住所地を管轄する出入国在留管理局の窓口で申請します。

申請取次者として出入国管理局の承認を受けた行政書士・弁護士は申請を取り次ぐことができます。

STEP
6

許可

審査には平均で3か月程度かかります。許可が下りると、申請人に連絡があります。

在留カード(永住ビザ)が交付されますが、交付の際に8,000円の手数料を納付する必要があります。

STEP
7

経営・管理ビザの申請に必要となる書類については、従事しようとする事業体の経営規模により異なります。これらはカテゴライズして定められており、上場企業等がカテゴリー1、給与の源泉徴収税額が1000万円以上の会社等がカテゴリー2、カテゴリー2を除く源泉徴収事業所がカテゴリー3、これら以外がカテゴリー4とされています。

カテゴリー1又は2にあたる場合は、申請書、写真、返信用封筒のほかはこれらのカテゴリーにあたることを証明する書類のみを添付すれば申請が可能ですが、事業開始から間もない場合や新規立ち上げの場合など、カテゴリー3又は4にあたる場合、事業計画書のほか多くの資料提出が求められます。

以上、経営・管理ビザについて、その内容とビザ申請方法、申請における留意点を解説しましたが、出入国在留管理局に対して行うビザ申請には多くの書類の添付が必要であり、また補足説明資料なども必要となってきます。

一度不許可となると再申請はその分ハードルが上がる傾向にもありますので、ビザ申請に不安がある方は、専門家に相談することも検討されることをお勧めします。

当事務所では、経営・管理ビザを申請されるお客様のビザ申請を代行する>経営・管理ビザ申請サポートをご用意し、お客様のビザ申請を全面的にサポートするサービスを提供しております。また、会社設立や各種補助金申請のサポートまで可能です。

無料相談にて、経営・管理ビザの許可取得が可能か、また、問題点がある場合にどの程度是正ができるかのアドバイスをさせていただきます。

無料相談は、①電話、②メール、③オンライン(Zoom、Line等)、④来所、⑤ご自宅訪問のいずれかでご対応しております。まずは、お気軽に、お電話かメールでお問合せください。

他にご不明な点がありましたら、
どうぞお気軽に
お問い合わせください!

LINEで問合せ!

友だち追加

※スマートフォンでご覧の方はボタンをタップして友だち追加できます。

お電話でのお問い合わせ

088-879-6914

受付時間:9:00~18:00(月~金曜日)

高知VISAサポートセンター運営ライフパートナーズ法務事務所代表行政書士森本拓也

この記事の執筆者

高知VISAサポートセンター所長

森本 拓也

TAKUYA MORIMOTO

行政書士ライフパートナーズ法務事務所

代表行政書士、宅地建物取引士

私も、イギリス在留中には、フラット(アパート)を借りる際をはじめ、多くの現地の方にたくさんお世話になりました。

当事務所では、ビザ申請に関すること以外にも、外国籍の方の行政手続き・不動産・日常生活に関する様々なお困りごとにも相談対応が可能です。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • 主な担当業務
    外国人のお客さまのビザ申請に関するサポートのほか、外国人を雇用する企業様の法的サポートを提供しています。
  • Profile
    1993年 3月 高知県立追手前高校   卒業
    1993年 4月 立命館大学産業社会学部 入学
    イギリス留学を経て、行政書士資格取得後公務員として約20年勤務した後、行政書士ライフパートナーズ法務事務所開設。

高知県行政書士会 会員(登録番号 第25381973号)

入管申請取次行政書士(行ー192025200024)

宅地建物取引士登録番号(高知)第005010号