「永住ビザ」とは、日本での在留期間に期限が無く、在留活動にも制限のない在留資格のことをいいます。

在留ビザの取得に関しては、既に有している在留資格からの変更のみが予定されており、上陸許可に際して付与されることがないのがその特徴です。

ここでは、「永住ビザ」について、どのような場合に取得することができる?、どうやって申請する?、といった疑問にお答えします。

【このページの要点】

  • 永住ビザの要件:①原則10年在留し、うち5年間は就労していること、②素行が良好であること、③生計の維持ができること
  • 原則10年の在留には、いくつかの特例がある。
  • 永住ビザ申請の流れ(審査には1年かかることも)
  • 永住ビザ申請に必要な書類

「永住ビザ」への変更については、出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という。)上、他の在留資格への変更が第20条により定められているのに対し、別途第22条により定められています。これは、永住ビザの在留期間が無制限であること、在留活動にも制限が無いこと、そして当該外国人の在留について審査する最後の機会であることから、より慎重を期すということの現れでもあります。

→e-Gov法令検索(出入国管理及び難民認定法)

ここで、よく混同されがちな「ビザ」と「在留資格」について、説明をしておきます。

「ビザ(査証)」とは、外国にある日本の大使館や領事館がパスポートをチェックし、日本への入国は問題ないと判断した場合に発給されるもので、日本への入国に関する認定の裏書をさします。ただし、日本への入国にあたってこの「ビザ」は必要なものですが、実際に上陸を許可するか否かは、日本の空港や港で上陸時に行われる上陸審査の際に入国審査官が決定します。入国審査官はパスポートに貼られたビザを確認し、上陸を許可するのであればビザに見合った「在留資格」を付与して外国人を上陸させることになります。その時点で「ビザ」は使用済みとなり、上陸時に与えられた「在留資格」が上陸後の外国人が日本に在留する根拠となります。

また、「ビザ申請」と国内で一般的にいわれるものについては、正確には「在留資格認定証明書交付申請」のことを指します。「在留資格認定証明書」とは、法務大臣が発行する、当該外国人が日本で行おうとする活動が上陸のための条件に適合すると判断した証明書をいいます。この証明書を事前に取得し、在外公館でビザ発給を申請する場合、在留資格に関する上陸条件についての法務大臣の事前審査を終えているとして扱われるため、ビザの発給が迅速に行われることとなります。外国人の入国の大半はこの方式を利用しています。

在留資格認定証明書交付申請は、当該外国人、又は、行政書士、弁護士などの代理人が、当該外国人の居住予定地を管轄する出入国管理局(支局・特定の出張所を含む)に申請書を提出して行います。

ただし、本サイトでは、特に断りの無い限り、「在留資格認定証明書交付申請」については一般的な呼称である「ビザ申請」という言葉で言い表します。

永住ビザの取得には入管法第22条によって、以下の3つの要件を充足する必要があります。

①素行が良好であること

②独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

③その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ただし、申請人が日本人・永住者・特別永住者の配偶者又は子である場合は、上記の要件③のみを充足すれば足ります。

また、申請人が難民認定を受けている場合は、要件②を充足しない場合でも、永住許可を為し得るとされています。

法律上の要件は上記のとおりですが、出入国在留管理庁からは永住ビザの許可に関するガイドラインが示されていますので、こちらについても解説をしておきたいと思います。

→「永住許可に関するガイドライン」(出入国在留管理庁HP)

具体的には、「外国人の素行が日本社会における通常人として非難されない程度」であることが要件であり、その判断にあたっては、納税等の公的義務の履行状況、前科の有無、暴力団とのかかわりの有無が重要な判断要素となります。

例えば、以下のような点について、これまでの在留期間を振り返ってみる必要があります。

①日本の法令に違反して、懲役、禁固又は罰金に処せられたことがないか。

もっとも、刑の消滅の規定の適用を受けた場合や執行猶予の言い渡しを受けた場合で執行猶予を取り消されることなく当該執行猶予期間を満了し、その後5年を経過した場合には該当しないとして扱われます。

②少年法による保護処分が継続していないか

③日常生活または社会生活において、違反行為または風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行良好と認められない特段の事情がないか

この点について、例えば交通違反による反則金の支払いの事実がある場合などについては、その事実のみをもってはこれに該当するものではありませんが、飲酒運転や無免許運転などに明らかな故意が認められる場合などは素行良好要件を満たさないと判断される可能性が高くなります。

現に生活上公共の負担となっていないこと、及び将来においても生計を維持し安定した生活を営むことができると見込まれる必要があります。

ただし、この生計要件については、申請人本人のみの収入や資産によって成り立つことを要せず、生計を一にする親族と共同で成立する場合には生計要件を満たすものとして扱われます。

10年の在留期間に加え、そのうち5年については、就労ビザを有して就労していることが要求されます。また、継続した在留が必要であり、再入国許可やみなし再入国許可を得て海外に渡航した場合は問題ありませんが、これらの許可を受けずに出国したことがある場合には在留期間の継続はなかったものとして扱われることに注意が必要です。

ただし、この原則10年の在留継続には、以下の特例が認められています。少々分量が多いですが、出入国在留管理庁のガイドラインの内容をそのまま紹介しておきます。

【原則10年在留に関する特例一覧】

  1. 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
  2. 「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
  3. 難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること
  4. 外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること
  5. 地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること
  6. 出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。) に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
    ア 「高度人材外国人」として必要な点数を維持して3年以上継続して本邦に在留していること。
    イ 永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められ、3年以上継続して70点以上の点数を有し本邦に在留していること。
  7. 高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
    ア 「高度人材外国人」として必要な点数を維持して1年以上継続して本邦に在留していること。
    イ 永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められ、1年以上継続して80点以上の点数を有し本邦に在留していること。
  8. 特別高度人材の基準を定める省令(以下「特別高度人材省令」という。)に規定する基準に該当する者であって、次のいずれかに該当するもの
    ア 「特別高度人材」として1年以上継続して本邦に在留していること。
    イ 1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として特別高度人材省令に規定する基準に該当することが認められること。 
  • 当面、在留期間「3年」を有する場合は、前記1(3)ウの「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。
  • 2(6)アの「高度人材外国人」とは、ポイント計算の結果70点以上の点数を有すると認められて在留している者が該当します。
  • 2(7)アの「高度人材外国人」とは、ポイント計算の結果80点以上の点数を有すると認められて在留している者が該当します。
  • 2(8)アの「特別高度人材」とは、特別高度人材省令に規定する基準に該当すると認められて在留している者が該当します。

上記特例の中で、特に「高度専門職」については、1年、3年といった非常に短期間で永住許可要件を充足することとなりますが、高度専門職には親や家事使用人の帯同が認められる一方、永住者にはこれらが認められておらず、ビザ変更を検討する際には注意が必要です。

永住ビザの審査には約1年を要するため、永住ビザを申請してから許可となるまでの間に、従前のビザの有効期限が到来することもあります。この場合には、従前のビザを更新しておく必要があるため、注意が必要です。

永住者の子が日本国内で出生した場合、60日間は在留資格なくして日本に滞在することが可能ですが、継続して日本に在留したい場合には、出生から30日以内にビザ申請をすることが求められます。この場合の永住ビザ申請においては、出生を証する書類のほか、出生した者の旅券が必要ですが、旅券が入手できていない場合なども多くありますが、この場合でも、旅券が入手できていない理由を「申請予定」や「申請中」として記載することにより申請することが可能です。

永住ビザの申請後の審査は長期に及びます。令和7年6月は平均277.5日、7月は平均321.3日が審査に要されていますので、お急ぎの場合は、専門家に依頼することも検討されることをお勧めします。

流れは以下のとおりです。

出入国管理局に永住ビザ申請

申請者の住所地を管轄する出入国管理局の窓口で申請します。

申請取次者として出入国管理局の承認を受けた行政書士・弁護士は申請を取り次ぐことができます。

永住ビザの審査には約1年を要するため、現在保有しているビザの期限が迫っている場合には、こちらの更新申請も併せて行うようにしましょう。

STEP
1

許可

審査には1年以上かかることもあります。許可が下りると、申請人に連絡があります。

在留カード(永住ビザ)が交付されますが、交付の際に8,000円の手数料を納付する必要があります。

STEP
2

永住ビザの申請に必要となる書類については、申請人の現在の在留資格ごとに異なりますが、ここでは、日本人の配偶者が永住ビザ申請を行う場合の必要書類を、以下に一覧で紹介しておきます。

日本人の配偶者が永住ビザ申請を行う場合に必要な書類一覧

  1. 永住許可申請書
  2. 日本人配偶者の戸籍謄本
  3. 申請人の国籍国発行の婚姻証明書
  4. 世帯全員の記載のある住民票
  5. 身元保証書、身元保証人の住民票、1年間の住民税の課税・納税証明書
  6. 申請人の在職証明書又は確定申告書、1年間の住民税の課税・納税証明書
    ※申請人の収入により生活する場合に必要です。
  7. 申請人を扶養する者の在職証明書又は確定申告書、1年間の住民税の課税・納税証明書
    ※申請人を扶養する者の収入により生活する場合に必要です。

以上、永住ビザについて、その内容とビザ申請方法、申請における留意点を解説しましたが、出入国在留管理局に対して行うビザ申請には多くの書類の添付が必要であり、また補足説明資料なども必要となってきます。

一度不許可となると再申請はその分ハードルが上がる傾向にもありますので、ビザ申請に不安がある方は、専門家に相談することも検討されることをお勧めします。

当事務所では、永住ビザを申請されるお客様のビザ申請を代行する>永住ビザ申請サポートをご用意し、お客様のビザ申請を全面的にサポートするサービスを提供しております。

無料相談にて、永住ビザの許可取得が可能か、また、問題点がある場合にどの程度是正ができるかのアドバイスをさせていただきます。

無料相談は、①電話、②メール、③オンライン(Zoom、Line等)、④来所、⑤ご自宅訪問のいずれかでご対応しております。まずは、お気軽に、お電話かメールでお問合せください。

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高知VISAサポートセンター運営ライフパートナーズ法務事務所代表行政書士森本拓也

この記事の執筆者

高知VISAサポートセンター所長

森本 拓也

TAKUYA MORIMOTO

行政書士ライフパートナーズ法務事務所

代表行政書士、宅地建物取引士

私も、イギリス在留中には、フラット(アパート)を借りる際をはじめ、多くの現地の方にたくさんお世話になりました。

当事務所では、ビザ申請に関すること以外にも、外国籍の方の行政手続き・不動産・日常生活に関する様々なお困りごとにも相談対応が可能です。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • 主な担当業務
    外国人のお客さまのビザ申請に関するサポートのほか、外国人を雇用する企業様の法的サポートを提供しています。
  • Profile
    1993年 3月 高知県立追手前高校   卒業
    1993年 4月 立命館大学産業社会学部 入学
    イギリス留学を経て、行政書士資格取得後公務員として約20年勤務した後、行政書士ライフパートナーズ法務事務所開設。

高知県行政書士会 会員(登録番号 第25381973号)

入管申請取次行政書士(行ー192025200024)

宅地建物取引士登録番号(高知)第005010号